資源の有効活用・廃棄物リサイクルの取り組み
NTTアーバンソリューションズグループ各社は、資源の有効活用に取り組むとともに、NTTグループ目標を踏まえ、廃棄物リサイクル率向上に向けた目標の設定を行っています。それぞれの事業特性に即し、事業活動で生じた廃棄物のリサイクル率向上に継続的に取り組んでいます。
木材の積極活用
建設資材として再び重要度を高める「木」
カーボンニュートラルや自然資源の有効活用、サーキュラーエコノミーといった環境課題に配慮した街づくりが求められる現在、それら全てに寄与する建設素材として、木材が再び注目されています。世界的に木材を活用した建物づくりが再加速する中、NTTアーバンソリューションズグループも取り組みを進めています。
木材を積極活用したオフィス・ホテルの開発
NTT都市開発が、豪州メルボルン近郊において開発を進めていた「36 Wellington Street」が、2023年10月に竣工しました。本物件は、地上15階建のRC・木造混構造ビルです。同エリア最高層の木造オフィスである同ビルは開発時から間伐材使用などによる環境負荷低減および省・創エネの仕組みおよび使用電力の再生可能エネルギー化などによるネットゼロカーボンビル化をめざしています。豪州政府のグリーンバンクが設立したファンドの木造中高層ビルに関する環境水準も満たすなど、現地において環境配慮型のビルとして注目されています。
また、2023年5月に開業したホテル「voco大阪セントラル」では、ロビーエリアの木組みに戦前の民家などで実際に使われていた柱・梁の古材を再利用しています。また客室ではリサイクル素材を活用した寝具、節水タイプのシャワーヘッド、竹素材の歯ブラシや櫛、木製のカードキー、レストランでは木製の食器を採用するなど、環境負荷の低減と、サーキュラーエコノミーの時代へのシフトを体感できる客室環境を提供しています。
「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」での『優秀賞』受賞
東京都港区では2011年より、建築物等への国産木材の使用を推進する「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を実施しています。同区内の公共施設・民間建築物等での協定木材または国産合法木材の使用を促し、その使用量に相当する二酸化炭素固定量を区が認証し、区内での二酸化炭素固定量を増やすとともに、国内の森林整備の促進による二酸化炭素吸収量の増加を図り、地球温暖化防止に貢献することを目的としています。
「品川シーズンテラス」は、2022年度の第1回「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度表彰」において『優秀賞』を受賞しています。
オフィス廃棄物リサイクルの取り組み
NTTアーバンソリューションズグループは、排出量削減とリサイクル推進、処分業者選定などによる最終処分率の低減およびリサイクル率の向上に継続的に取り組んでいます。
大手町ファーストスクエアにおける100%リサイクルの達成
NTTアーバンソリューションズグループは、保有・管理するビルや商業施設などにおいて排出される廃棄物のリサイクルを継続的に推進しています。共用部など、直接管理できる空間についてはもちろん、テナントの皆さまが管理する空間からの廃棄物についても、減量・分別の徹底などについて協力をお願いしています。
「大手町ファーストスクエア」では、2015年度から8年連続で廃棄物のリサイクル率100%を達成し現在も継続中です。
具体的には、リサイクル推進責任者会議の開催、リサイクルマニュアルの作成・配布、啓発ポスターの掲示などを行い、テナントの皆さまのご協力を得ながらリサイクル分別を徹底しました。また、リサイクルセンターでの再分別を徹底し、廃棄物を削減しました。
さらに、従来、東京都の処分場を利用し埋め立て処分としていた廃棄物について、高度なサーマルリサイクル施設を活用することで、廃棄物リサイクル率100%となりました。
環境負荷低減に貢献するオフィスリニューアル
NTT都市開発は、2019年4月にオーストラリア現地法人を通じ、オーストラリアキャンベラのオフィスビル「121 Marcus Clarke Street」の持分50%を取得※1し、その運用および現地の環境政策やテナントニーズに即したリニューアルを開始しました。
主要オフィステナントやリテールテナントとの協働により、ごみの分別やリサイクルプログラムを2020年より開始し、テナント専有部にも分別用ごみ箱を設置するといったサーキュラーエコノミー対応も積極的に展開しています。さらに現地のリサイクル事情に即した検討を行い、清掃業務での生分解性バッグの活用に加え、90%の電化製品をリサイクル、微生物による生ごみ(有機物)分解リサイクルにも取り組むなど外部リサイクル処理場も活用した体制を構築しました。
このような現地協力企業の皆さまとの協働により、取得以前と比べビル全体で27%のごみ削減を実現しました。
その他にも環境に配慮し、設備の省エネ化推進や太陽光パネルを設置しました。これにより、現地の建築環境性能認証であるNABERS※2のエネルギー部門で4.5スターから5.5スター(グリーン電力購入などを行わない範囲での最高格付け)への引き上げを達成しています。また、テナント従業員の皆さまの多様な通勤手段に対応するため、駐輪場設備の改善およびアメニティ設備の刷新を行いました。
- 2021年4月に追加で50%を取得し、現在は単独保有
- NABERS : National Australian Built Environment Rating Systemの略
建設廃棄物リサイクルの取り組み
NTTグループ共通の目標である2030年度リサイクル率99%の達成に向け、2023年4月より社内における廃棄物リサイクル率向上ワーキンググループを設置しました。建物建設工事や改修工事について検証を実施し、工事から排出される廃棄物を中心に、リサイクル率向上を図っています。また、環境負荷低減と自然資源保全の両立をめざす建物づくりも進めています。
NTTアーバンソリューションズグループの事業活動では、既存の建物が建っている土地を再開発する時などに、建物の解体に伴い、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材(木くず)などの建設廃棄物が発生します。この建設廃棄物が可能なかぎりリサイクルされるよう、信頼できる事業者を選定するなど、リサイクル率の安定化に取り組んでいます。
水資源の活用
ビルにおける節水・水リサイクル
NTTアーバンソリューションズグループでは、限りある水資源を大切に使う取り組みを継続的に行っています。開発・運用するビルの特徴や状況に応じて、節水型便器や過剰水量防止装置のほか、中水(屋上の雨水や洗面所などの雑排水、厨房排水など)を再利用する設備を導入しています。
「品川シーズンテラス」は、芝浦水再生センターの上部に立地しており、節水や中水活用に留まらず、同センターで発生する下水熱や再生水を最大限に活用しています。安定した下水熱を活かして熱源として活用するほか、再生水については、トイレの洗浄用水、植栽への潅水といった用途に使用します。
この取り組みは、水資源の保全だけでなく、ヒートアイランド現象の軽減にも貢献しています。