デジタルの力で新たな未来を
NTTアーバンソリューションズグループ横断の取り組み
未来社会に向けた協賛・連携の推進
2025年開催予定の日本国際博覧会(「大阪・関西万博」)は、「SDGs達成への貢献」ならびに「日本の国家戦略Society5.0の実現」を、「めざすもの」に掲げる万博です。中でも「未来社会ショーケース事業」は、2025年より先の未来を感じさせる次世代技術・社会システムの実証などを企図した催事となります。NTTグループは同事業の「大阪・関西万博バーチャル会場」および「来場者向けパーソナルエージェント」に協賛(役務提供)を表明し、それぞれ(株)NTTドコモとNTTアーバンソリューションズを中心に準備を進めています。
「来場者向けパーソナルエージェント」では、NTTアーバンソリューションズグループの持つ「街づくりDTCR」のノウハウを活かし、万博会場を一つの街と見立て、誰もがストレスなく回遊できるスマート体験を提供します。スマートフォンなどを用いて、各来場者の行動履歴、予約情報、位置情報や各施設の混雑情報など万博会場の各種データを活用し、一人ひとりに合わせたモデルルートの提案や施設レコメンドを行うなど、NTTグループが培ったテクノロジーや知見を結集することで来場者および世界中の方々に対して魅力あるサービスを提供します。
未来社会ショーケース事業(2023年10月3日時点)
未来社会ショーケース事業は、2025年より先の未来を感じさせる次世代技術・社会システムの実証と、2025年の万博にふさわしい先端技術・社会システムの実装の二つのレイヤーを念頭に実施を検討しており、NTTグループも一部の事業に取り組んでいます。
NTT都市開発の取り組み
歌舞練場のメタバースでの再現と、体験提供
NTT都市開発はかねてより、地域の個性や歴史・文化に寄り添った街づくりを重視してきました。ICTを活用したソリューション提供においても、その視点を重視した価値創造を加速しています。
京都市東山区宮川筋にある旧歌舞練場(1916年建設)では現在、「元新道小学校跡地活用計画」の一部として建て替え新築工事が進行しています。新築建物には旧建物の部材も活用し大屋根のデザインを継承しています。また、NTTスマートコネクト(株)と共同しメタバース空間※に旧歌舞練場の一部を再現し、2023年3月より一般公開しました。
具体的には、現存中に計測・収集した3D点群データを活用し、天井の高さや舞台の大きさを当時と変わらない高精細なデジタルアーカイブとして再現しました。メタバース参加者は、再現された歌舞練場内をアバターで自由に移動し、音声会話やテキストチャットなどにより交流を体験できます。また映像コンテンツとして、解体前の歌舞練場において360度カメラで撮影した「第71回京おどり」のアーカイブ映像や芸舞妓さんのお稽古映像などを用意し、メタバース空間ならではの臨場感ある体験を提供しています。宮川町の歴史・文化を保存しつつ、街づくり・ICTを活用したソリューションの両面から新たな文化発信・交流スペースを創出します。
- (株)NTTコノキューが提供する仮想空間プラットフォーム「DOOR(https://door.ntt/6A78wcW/miyagawacho-roof/)」を活用

メタバース空間上に再現した旧歌舞練場(ホール内部)

同(外観・大屋根)
デジタル連携を活用した、イベント施策の展開
NTT都市開発は、「街を通じたコミュニティとの交流・連携」の新たな形として、デジタル技術の活用を推進しています。
「大手町プレイス」(東京都千代田区)では2023年1月に近年注目を集めるeスポーツを活用したイベント「Otemachi Place CUP」を開催しました。来場者対戦ブースなども用意し入居される企業の皆さま、店舗の皆さまの横のつながりを促すことで、デジタルとリアルを交えた新たな地域イベントの形を模索しました。
「秋葉原UDX」(東京都千代田区)では、施設および周辺地域の振興施策の一環として、東京ケーブルネットワーク(株)に協力いただき、2022年3月に地域連携企画「描こう、ミライ。サクラサケ、2022」を実施しました。その企画の一つとして「秋葉原UDX」を模したメタバース空間※を公開し、新型コロナウイルス感染症の拡大により発表の機会を失った地域の学生たちにメタバース空間を活用して発表の場を提供しました。期間中、メタバース空間ではリアルな展示とも連携しながら、地域の中学校・高校の皆さんから寄せられた多様なパフォーマンスを映像で公開し、地域の新たな交流の場を創出しました。
引き続き、これらのようなバーチャルとリアルを交えたイベントの試みを各所で継続し、新たな「街の賑わい」の在り方を模索していきます。
- (株)NTTコノキューが提供する仮想空間プラットフォーム「DOOR」を活用

「描こう、ミライ。サクラサケ、2022」の様子

「Otemachi Place CUP」当日の様子
NTTアーバンバリューサポートの取り組み
ICTを利用したビル管理・テナントサービスソリューションの積極的な開発
NTTアーバンソリューションズグループが管理サービスを提供するビルは、オフィスビルから商業施設まで多岐にわたります。NTTアーバンバリューサポートは、ICTを利用したビル管理やテナントサービスを、より多くのビルオーナーに利用いただけるよう開発を進めています。
オフィスビルおよび商業施設の監視カメラシステムは、現在急速にICT・クラウド化が進んでいます。従前は拠点ごとにハードディスクを配置したシステムを導入するケースが一般的でしたが、クラウドサービスを利用し多拠点映像の管理・保管を行う提案を、NTTアーバンバリューサポートが中心となり行っています。現在、NTT東日本の提供する「ギガらくカメラ」を活用したソリューションを推進しています。これはクラウドサービス環境での運用となるため、防災センターにハードディスク・専用システム機器が不要となり、災害時およびコロナ禍におけるリモート環境下での利便性が高いものとなっています。設置の容易性も特徴で、中規模ビルへの適用にも柔軟に対応できるものとなっています。
商業施設にはセキュリティ対策だけでなくプロモーションにもICT活用のニーズが生まれつつあり、各地で実証的に導入を進めています。例えばNTT都市開発の本社がある「秋葉原UDX」の飲食店ゾーン「秋葉原UDXレストラン&ショップ AKIBA_ICHI」において、東急カード(株)の提供する「.pay(ドットペイ)」を活用して2022年3月から利用者向けアプリ「AKIBA_ICHIアプリ」の提供を開始しました。買い物時のポイント付与やQRコード決済などが利用できるほか、登録会員に対しては各種クーポンや限定キャンペーンの配信なども行える同サービスは、商業施設の販促業務を効率化するだけでなく属性データの収集にも貢献するものとして期待が高まっています。

「Otemachi Place CUP」当日の様子
NTTファシリティーズの取り組み
歴史的な建物の、ICTを活用したリニューアル
NTTファシリティーズが設計統括・維持管理業務を担当している「弘前れんが倉庫美術館」は、明治・大正期の歴史ある建築を再生し、2020年2月に竣工しました。コンセプトに「記憶の継承」を掲げた同館は歴史的な建築を未来につなげるための特徴的な意匠を施しています。
館内設備の刷新においては、明治期のれんが壁や木造および鉄骨屋根を可能な限り活かしながら、美術館として厳密な温度・湿度・照明管理を行うため、れんが壁内部に温度センサーを配置し、BASで制御しています。また照明機器には、タブレットで制御する技術を採用し、省エネルギー性と来館者の利便性、展示品の保全に寄与するものとしています。
耐震性能についても、古い建物を巧みに補強するため、点群データやBIMを活用したシミュレーションを行った上でデジタル技術を積極的に活用しました。
同館は、第42回東北建築賞※1「作品賞」や2021年度フランス国外建築賞※2グランプリ、第32回BELCA賞、第10回耐震改修優秀建築賞を受賞するなど、国内外の高い評価を受けています。
- 東北地方においてその建築文化や環境形成の向上に貢献し、地球環境時代にふさわしい優れた建築作品、東北地方で発表された将来性が期待される研究活動、その他建築分野に関わる重要な業績を顕彰するもの
- フランスを拠点とする建築家を対象に、国外での活動を称えるフランス文化庁認定の国際的な建築賞

弘前れんが倉庫美術館外観

館内の様子 撮影:©阿野太一
DXによるファシリティのイノベーション工場向け設備オペレーション最適化サービス
NTTファシリティーズは、2020年度よりフランスMETRON社のサービスを日本市場に展開し、工場向けファシリティマネジメント事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するべく努めています。
同サービスは、工場内のあらゆる設備の稼働状況とエネルギー使用状況に加え、生産量などのデータを取り込み、AI活用と技術者のノウハウにより分析することで生産工程全体の最適な運用の提案を行うものです。工場向け設備オペレーション最適化サービス「METRON-EVA Factory」を開発し、グローバルに提供するMETRON社のデジタル技術とNTTファシリティーズの運営・管理の知見を組み合わせることで、工場の生産設備およびユーティリティ設備(冷温水設備、ボイラー圧縮機など)におけるエネルギー供給から消費までの管理に加え、生産工程制御のための設定値を、最適にする提案が可能となります。
METRON社のサービスは、世界各地で高い評価を受け、自動車、製鉄、化学、硝子、食品など、既に多くの業種の工場で導入が進んでいます。
NTTグループは、(株)NTTドコモ・ベンチャーズを通じ同社に2019年に出資。同社の日本法人であるMETRON JAPAN(同)との間で日本でのアライアンス契約を結び、日本の工場の設備オペレーションをデジタルツイン※により効率化する提案を積極化しています。
今後も、多様な工場へとサービスを広げることで、業種や設備を問わず、熟練者からの技術伝承問題や、設備の複雑化に伴うオペレーション最適化問題などに直面する企業の皆さまの課題を解決していきます。
- 設備などからさまざまなデータを収集し、デジタル空間上で現実と同じ設備などの状態を実現する仮想モデル
ICTの適正な利活用
ICTの適正な利活用
NTTアーバンソリューションズグループでは、情報セキュリティに対する社会的要請に応えるため、ISMSの国際規格(ISO/IEC27001)の認証を主要5社の本社、および支店で取得しています。
ISO27001の認証取得状況
社員への教育・研修
NTTアーバンソリューションズグループでは、社員の情報セキュリティ意識向上に努めています。
具体的には、年に2回、グループ内の全社員を対象にしたeラーニングによる研修の実施や標的型攻撃を想定した訓練メールを送信し、開封状況の確認や開封した際のエスカレーションの訓練を行っています。また情報セキュリティインシデントを防止するため、社員の基本動作の徹底を図る観点から、各種啓発活動を実施しています。さらに情報セキュリティ全般に関する理解度向上とISMSの確実な実施のために、情報セキュリティ推進者・ISMS実務者向けの研修(説明会)の開催などを行っています。