日本語 ENGLISH
検索
お問い合わせ
立教大学大学院で「街づくりデザイン」講座を展開
立教大学大学院で「街づくりデザイン」をテーマにMBA講座を開講
地域の人々が、自ら未来のまちを考え参加する、そんな街づくりの実現へ
立教大学大学院で「街づくりデザイン」をテーマにMBA講座を開講
賑わいと
憩いの場を創る

NTTアーバンソリューションズグループは、まちに、社会に、さまざまな価値を提供することにより、地域社会の課題解決に取り組んでいます。本シリーズでは、その取り組みを具体的にご紹介。

今回取り上げたのは、立教大学大学院のビジネスデザイン研究科が開講する「街づくりデザイン」。教授、客員教授、特任研究員の4名に取材し、講座内容だけでなく、開講の目的や、企業×大学連携の意義などについて伺いました。

講座概要

講座名:街づくりデザイン

立教大学大学院のビジネスデザイン研究科で、斎藤明教授が担当する講座。企業が参画する「寄付講座」になっており、NTTアーバンソリューションズグループ社員が教壇に立ち、街づくりに関するノウハウや実例を受講生たちに指導している。講義は1回100分で、毎週金曜日に2回の講義が組まれ、全7週14講義のカリキュラム。受講生は年度によって異なるが、2~11名ほど。

インタビュー

お話を伺った方

お話を伺った方

お話を伺った方

立教大学 

大学院ビジネスデザイン研究科・観光学部 教授

ビジネスデザイン研究所 副所長 斎藤 明

お話を伺った方

株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所

取締役 街づくりデザイン部長
立教大学 ビジネスデザイン研究科 客員教授 今中 啓太

お話を伺った方

株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所

街づくりデザイン部 上席研究員
立教大学 ビジネスデザイン研究科 特任研究員 林 正樹

お話を伺った方

NTT都市開発株式会社

立教大学 ビジネスデザイン研究科 特任研究員 阿南 朱音

※特任研究員として、株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所在籍時に担当

MBAコースとして「真のゼネラリスト」と「ビジネスクリエーター」を育成

立教大学大学院ビジネスデザイン研究科では、どのようなことを学ぶのでしょうか。

斎藤:本科は、2002年に社会人のためのMBAコースとして開設され、高度専門職業人のあり方を追究する研究教育機関として発展しています。オールラウンドに物事を判断し、幅広い知識で多くの物事に対応できる人材である「真のゼネラリスト」と、新しいスキームを構想して作り上げ、マネージメントしていく「ビジネスクリエーター」の育成をめざしています。

さまざまなバックグラウンドの受講生がいるそうですね。

斎藤:会社員や経営者のほか、医師・看護師、会計士や社会保険労務士、自治体職員や地域の団体職員などさまざまです。経済・経営系学部のみならず、文学部や理工学部、医療系学部出身者など、知識ベースでも多彩です。20代前半から60歳を過ぎた方まで幅広く、40~50代の方も増えてきました。

お話を伺った方

企業の専門家がノウハウや知見を提供する「寄付講座」

「街づくりデザイン」を開講する目的や経緯を教えてください。

斎藤:近年、「デザイン経営」「デザイン思考」といった言葉に象徴されるように、事業や経営において「デザイン」の重要性が見直されています。

一言で「デザイン」といっても、2つの意味があります。ひとつは、見た目の美しさや使い勝手の良い形態を探求するもの、もうひとつは、デザイン思考と呼ばれるプロセスや考え方を指しています。街づくりには、この2つのデザイン視点が欠かせないとの強い思いから、両方を養える本講座を開講しました。

「街づくりデザイン」は「寄付講座」と伺いました。寄付講座とは?

斎藤:本学には2つのタイプの寄付講座があります。企業・団体から必要な資金を提供していただく講座、それに、資金の代わりに講師となる人員やノウハウなどを提供いただく講座です。

本講座は後者で、今中さん、林さん、阿南さんほか、NTTアーバンソリューションズグループの方々に教壇に立っていただいています。実務に立脚したノウハウや最新事例などが受講生に共有されており、これこそが本研究科が寄付講座に求めていることです。

お話を伺った方

個性豊かで活力ある街づくりに貢献する企業姿勢に共感

数ある不動産会社の中で、なぜNTTアーバンソリューションズグループに依頼したのでしょう。

斎藤:NTTアーバンソリューションズグループは、「中期ビジョン Road to 2030」の実現に向け、街づくり推進体制の強化を図っていました。「都市開発」というより、「街づくり」という身近な課題と向き合いながら、個性豊かな活力ある地域・街づくりに貢献する姿勢に好感を持ったのです。

また、自治体、企業、店舗、商店街、文化・医療施設といった地域オーナーともつながり、幅広く層も厚い働きかけは、私が構想していた「街づくりデザイン」講座の趣旨と同じ方向性だと共感して、オファーに至りました。

今中:NTTアーバンソリューションズ株式会社は、NTTグループで「街づくり」という領域へ本格的に取り組むため、2019年に設立されました。まだ数年しか経っていないので、より幅広い人脈と関係性を構築し、知見や知識を積み重ねていきたいと感じていたところ、斎藤先生からオファーがあったのです。

実際に教壇に立つと、私たちの知識やノウハウをアウトプットしていく中で、受講生たちのさまざまなリアクションをダイレクトに受け取ることができます。それが、私たち一人ひとりの成長につながっていることは間違いありません。

お話を伺った方

一方通行でなく、インタラクティブな講座に

「街づくりデザイン」講座は、どのような内容で進めているのですか?

今中:座学とディスカッションを繰り返し、街歩きをしながら感じたことを模型などを使ったワークショップで体験してもらっています。

阿南:例えば、林さんは街や建築のデザイン、私は防災など、得意な領域の講義を担当しています。当社には、街づくりに関わる多様な分野を専門とする人材が揃っているため、他にも都市計画や都市に関するデータ活用などへの知識の深い社員をそれぞれ招き、毎回講師が変わる授業を組んだりもしています。

林:NTTグループは、都市に関するデータの計測・分析にも力を入れています。そのような専門分野の担当者による講義も人気がありますね。多角的な視点を養うために、あらゆる講師による授業を用意しています。

講座を進めるにあたり、配慮していることはありますか?

今中:こちらから発信するだけの、一方通行の座学では面白くありません。ディスカッションなどを極力組み込んで、講師対受講生、あるいは受講生同士で意見を交わし合うインタラクティブな授業を心がけています。

林:ただ街を紹介するだけでなく、背景にある社会課題、解決するために活動した主体、関係者の巻き込み方・合意形成の進め方などを実感できる、実践的な授業を心がけています。また、座学でも受講生に質問を投げかけたり、ワークショップでは模型を組み立てて手を動かしてもらったりしながら、考えを引き出しやすい進行を意識しています。

模型を使ったワークショップの様子

模型を使ったワークショップの様子

模型を使ったワークショップの様子

模型を使ったワークショップの様子

模型を使ったワークショップの様子
(上段 立教大学池袋キャンパス、下段 LIFORK原宿での授業模様)

講座の手応えはいかがですか?

林:受講生には、毎回講義のあとにアンケートを書いてもらっています。「授業ではAのケースでしたが、Bのケースではどうなるのですか?」といった深掘りした質問や、受講生なりの考え方が記されていることもあり、授業内容を咀嚼してさらなる知識として吸収したいという姿勢が伝わってきます。想定していた以上にさまざまなことを考え、提案いただいている印象で、こちらも全力で向き合わなければと気が引き締まります。

今中:講義では「NTTグループとして、どうお考えですか?」といった質問もあり、企業としてのあり方や責任も感じます。さまざまな質問には、次の授業で誠実にお答えしています。その甲斐もあってか最終回には、「全体的に非常に楽しい授業だった」と言っていただくことが多く、ありがたいと思っています。

お話を伺った方

消滅可能性都市から、子育てしやすい街へと変化した池袋

講座のテーマである街づくりの舞台は池袋です。その狙いとは?

阿南:池袋にある立教大学での講義であるため、受講生にとって馴染みのある街ということで取り上げました。また、豊島区は全国の街づくりのモデルになる取り組みを積極的にされており、当社グループも「Park-PFI」(パークピーエフアイ/公募設置管理制度)や、「エリアプラットフォーム」へ参画させていただいてるので、講義の題材として紹介することができました。

林:エリアプラットフォームとは、行政と企業が協働してエリアをどう盛り上げるか考える取り組みで、私も関わっています。池袋は「人が多く雑多な街」という印象が強いかもしれませんが、近年、公園が整備された子育てしやすい街や、女性の住みやすさを重視した街に変わってきています。ほかの街にはない魅力はまだまだあり、それらをどのように活かした街づくりを行うか検討しています。

今中:実は池袋は2014年5月、日本創生会議から東京23区で唯一「消滅可能性都市」と指摘されました。そこで当時の区長が、「子どもと女性にやさしいまちづくり」を政策の一つに掲げ、注力したのが公園の整備です。例えばベビーカーで入れる広い設計の公衆トイレをアートペイントなどで親しみやすくし、増設。緑化整備も徹底しています。

中でも成功例として挙がるのが「南池袋公園」です。青々とした芝生が広がり、カフェ、教養施設、備蓄倉庫などを完備。多くの人たちが平日・休日問わず思い思いに過ごし、全国各地から視察も訪れるほどです。これに留まらず、池袋は今後も姿を変えて発展を遂げることが期待できる街です。

お話を伺った方

街づくりのプロセスや効果を可視化していきたい

今までの成果と、今後の展望を教えてください。

斎藤:今までの活動の成果の一部として、書籍『デジタル&デザイン・トランスフォーメーション―DXとデザイン志向の未来戦略―』を刊行いたしました。今中さんと阿南さんにも寄稿いただいています。

また、立教大学の一貫校・系属校の高校生に対して、街づくりデザインのプロセスを体験する夏のワークショップも展開できました。これらの取り組みを引き続き、NTTアーバンソリューションズグループのみなさんと協働できればうれしいです。

今後は新たに、街づくりのプロセスをワークブックにして地方創生に役立てる、街づくり後の効果を検証する指標の開発などにも取り組んでいけると理想的です。

今中:2025年度の講座内容も、街づくりとデザインをテーマにすることは変わりません。それに加え、斎藤先生の専門である「観光」を新たなテーマにしたらおもしろいのではと考えています。

最後に、「街づくりデザイン」への思いについてお聞かせください。

今中:日本では「街づくり」は専門家や行政、不動産開発事業者の限られた人が行うものという認識が強く、自らが参加意識を持つ人は少ないのではないでしょうか。一人でも多くの人が、デザインという視点で「街づくり」に興味・関心を持ち、その結果、住む人の視点を大切にした街として潤い、発展したら、これほどうれしいことはありません。本講座では、それが実現できる人材育成に向けて今後も尽力してまいります。

斎藤:大学院での学びは、実務と研究という両輪をバランスよく掛け合わせることが大切です。そのために本講座を寄付講座にしたことは、大変有意義だと感じています。NTTアーバンソリューションズグループが参画することで、新しい発見や学びがあることは、受講生だけでなく私自身も実感しています。今後も引き続き、協働して多角的な学びを多くの受講生に提供し、豊かな街づくりに貢献できる、多様な人材を育成いたします。

模型を使ったワークショップの様子

模型を使ったワークショップの様子

NTTアーバンソリューションズグループでは、地域課題解決に向けたさまざまな取り組みを行っています。
「あなたと、まちと、みらいをつなぐ。」
NTTグループがもつICT、不動産、エネルギー、環境技術などのリソースを最大限に活用することにより、地域の皆様の個性豊かで活力
ある街づくりをサポートしてまいります。
お問い合わせはこちら

ページトップに戻る