安心・安全でレジリエントな社会へ
BCPの徹底・BCMの推進
耐震・水防対策と防災活動
NTT都市開発では、各ビルの建物躯体の耐震性を確保することに加え、エレベーターの耐震対策、水防板の設置、重要室(電気室や防災センターなど)を浸水リスクが低い場所へ設置するといった建物の浸水対策などに取り組んでいます。さらに、大規模地震発生後の建物の安全性検証のために、建物躯体の被災度を判定するシステムの導入も進めています。
また、防災体制の整備や避難誘導手順の周知、防災訓練やセミナーの開催、防災ガイドブックの配布など、各ビルの状況に応じて実施しています。
非常時の地域貢献
NTT都市開発では、各ビルの状況に応じて防災備蓄倉庫を設置し、非常食や毛布、水、防災用応急復旧機材や簡易トイレなどを備蓄するとともに、行政機関と連携した帰宅困難者へのサポートの準備も進めています。
物件別ハザード情報の整理
NTT都市開発では、地域密着型事業の全国展開と、気候変動による豪雨、土砂災害などの災害の激甚化や広域化を背景に、自然災害に伴う物件被害状況の予測や事前対策の実施、災害発生時の迅速な対応に寄与することを目的として、保有・管理する全物件についてハザードマップから災害リスク情報を収集、整理しました。
また、整理された情報をもとに、災害対策活動で使用する災害時情報共有システムの地図上で、各物件の災害リスクを視覚的に把握することが可能となり、物件の予防保全等に役立てています。
ビル内での防災意識向上
NTT都市開発では、防災イベントなどの開催により、テナントの皆さま、地域の皆さまの防災意識を高めるための取り組みを行っています。
「アーバンネット名古屋ネクスタビル」および「アーバンネット名古屋ビル」、商業施設「Blossa」(愛知県名古屋市)で構成される東桜街区において2022年9月9日に防災イベント「Nexta防災リアル体験」を実施しました。隣接する久屋大通公園および中部電力MIRAITOWER、商業施設「オアシス21」にて実施している防災イベント「名古屋ShakeOut」(久屋大通発展会主催)と同日開催、連携することで、街全体を巻き込んで防災意識向上を図るイベントとしました。また、2023年3月10日には「大手町プレイス」において、体験型防災イベント「首都直下型地震72時間サバイバル」を開催しました。
実際に大都市の中で災害に遭遇した際に冷静に対応できるよう、一人ひとりの備えや行動を通じた防災意識を高めることを目的とし、帰宅困難者受け入れ施設である「大手町プレイス」をはじめとした、大手町全体の防災力向上をめざした取り組みです。
今後も各地で防災イベントなどを開催し、防災意識を高める取り組みを推進していきます。

「首都直下型地震72時間サバイバル」当日の様子

「名古屋ShakeOut」当日の様子
NTTグループとしての災害復旧支援
NTTファシリティーズは多くのNTTグループのインフラ案件に携わっており、災害発生を含む万一のトラブル発生時には復旧支援へと迅速かつ円滑に参画します。保守スタッフによる駆け付けサービスは、現場を支える「人の力」というNTTファシリティーズの強みを活かした万全のサポート体制です。
2022年度も6月の石川県能登地方の地震や8月の北海道地方や東北地方、北陸地方を中心とした記録的大雨、9月の台風14・15号による風水害といった災害が日本各地に影響を及ぼす中、NTTグループ通信ビルへの対応を迅速に実施。停電や浸水、建物被害などへの復旧対応を展開しました。これからも、ファシリティマネジメントの専門家集団ならではの取り組みを強化し、24時間365日ファシリティを見守り、支える事業を推進していきます。
食料など非常用物品の備蓄
NTTファシリティーズグループでは、災害復旧作業に従事する社員の食料などを各勤務場所に備蓄しています。備蓄量は、大規模災害の復旧作業長期化に備え、「災害復旧作業に従事する社員数×50%×7日間」です。さらに、災害時の帰宅困難などに備え、「社員総数×30%×3日間」の水、食料などを各勤務場所に備蓄しています。
インフラのレジリエント化
ビルにおける安心・安全のバリアフリー推進
NTT都市開発では、ビル開発や運営におけるバリアフリー化を積極的に進めています。大型複合施設である「品川シーズンテラス」では、バリアフリー法に対応するだけでなく、誰もが使いやすい施設になるよう、ビル内通路などのハード面から警備員の対応といったソフト面まで、きめ細かな配慮を心がけています。実際の使い勝手を確認するため、NTTグループの障がい者雇用特例子会社であるNTTクラルティ(株)の車いす利用社員による、ユニバーサルデザインチェックも実施しています。
2018年8月に竣工した「大手町プレイス」では、ユニバーサルデザインの実現に向け、計画の初期段階からNTTクラルティ(株)社員と意見交換を行い、障がいのある方の視点を取り入れました。
エントランスにはインターホンを設置し、呼び出せばビルのスタッフのサポートが受けられるほか、フロアマップが点字表示された触地図を配置しているので、視覚障がいのある方にもエレベーターやトイレの位置など、施設全体が把握できます。
また、全ての人が使いやすい街づくりの一環として、「誰でもトイレ」には片手でも上げ下ろしできる多目的シートを設置し、身体の不自由な方や高齢者などさまざまな方が利用できるように配慮しているほか、利用者が足を休められるよう、主要な動線の随所にベンチを配置。授乳室も設置しています。
災害発生時には、トイレを利用されている聴覚障がいのある方への対応として、音声案内に加えてフラッシュライトの点滅によって災害発生を知らせます。ビルの管理は、NTTアーバンバリューサポートが中心となって組成する管理共同体が担当。ビルを利用するさまざまな人の意見を取り入れながら、ユニバーサルデザインの取り組みを継続させ「誰もが集える街」「誰もが利用しやすい建物」をめざします。

大手町プレイスエントランスのインターホン・フロアマップ
非常時におけるオフィス機能の確保
NTT都市開発は非常時でもオフィス機能を維持できるよう設備を備えています。
2022年に竣工した「アーバンネット名古屋ネクスタビル」では、テナントの事業継続計画(BCP)サポートとして、大地震時に小規模修復により継続使用可能とされる耐震性能グレード「上級」に該当するほか、制振装置や建物安全度判定サポートシステム、72時間の非常用発電、浸水対策や防災備蓄倉庫など、災害発生後でもワークプレイス環境を維持する設備を備えています。
地震に備え、継続使用の可否判断を支援する「建物安全度判定サポートサービス<揺れモニ®>」
近年、建物の地震による揺れを建物に設置したセンサで測定することにより、建物の健全性を判断する構造ヘルスモニタリングシステム※1による判定手法が普及し始めています。この判定手法は、地震による建物の被害を即時に判定し、迅速に情報提供することが可能です。そのため、地震後における建物の所有者・利用者の安全確保、地震後の居住や経済活動の継続の判断の観点から広範な普及が期待されています。
NTTファシリティーズはファシリティの専門家として、かねてより構造ヘルスモニタリングシステムの開発を続け、全国の建物に「建物安全度判定サポートサービス<揺れモニ®>」を展開してきました。同サービスは、建物各階に設置した加速度センサにより地震時の揺れを計測し、建物の構造体(骨組み)の安全度を速やかに3段階で評価することで、 地震被災直後における迅速な判断やその後の効率的な復旧対応をサポートする構造ヘルスモニタリングサービスです。本システムは、建物各階に加速度センサを設置して揺れを計測することで地震時の建物全体の挙動をより正確に把握できるため、信頼性の高い建物安全度の評価が可能です。サービス開始から数年にわたる強化・拡充を経た同サービスは2023年、日本建築防災協会による構造モニタリングシステム技術評価を取得しました。
- 構造ヘルスモニタリング:建物等の構造物にセンサを設置して振動等を計測し、構造物の損傷の状態や程度を診断・予測する技術
- 一般財団法人日本建築防災協会HP参照 https://www.kenchiku-bosai.or.jp/evaluation/monitoring/ 当該ページを別ウィンドウで開きます
システム概要図

耐震改修に携わったドコモ大阪南港ビルの受賞
NTTファシリティーズはかねてよりNTTグループの通信ビル・データセンターなどの設備改修などに携わり、耐震をはじめとする高い防災性能の実現に貢献しています。その成果は国内外で高い評価を得ています。「ドコモ大阪南港ビル」は、(株)NTTドコモの西日本エリアにおける移動通信ネットワーク拠点として2004年に竣工した通信建物です。南海トラフ地震やそれに伴い発生する長周期地震動(2016年 国土交通省報道発表)※1に対して建物機能、通信を維持するため、2019年から2022年にかけて耐震改修設計・工事を行いました。
その内容は既存の免震建物を改修して長周期地震動対策を施した先駆的な取り組みとして評価され、「令和4年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰(第12回)※2」の「日本建築防災協会理事長賞 耐震改修優秀賞」および「第24回日本免震構造協会賞※3」の「日本免震構造協会賞業績賞」として表彰されました。
- https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000080.html 当該ページを別ウィンドウで開きます
- 一般財団法人日本建築防災協会主催。耐震改修を実施した既存建築物のうち、特に耐震性、防災・安全性、意匠等に優れた建築物お よび関係者を表彰するもの
- 一般社団法人日本免振構造協会主催。免震構造等の技術の進歩および適正な普及発展に貢献した個人、法人および団体に対して表 彰するもの

建物外観