防災機能と環境負荷低減に配慮した公共施設
―「港区立芝浜小学校」の建築―
「レジリエンス」が重要な公共施設
庁舎や公共施設は、地域の経済・社会の要となるだけでなく、非常時には対策本部や避難場所といった機能を担うため、激甚な気象や地震といった災害へのレジリエンスが、機能・快適性と同様に重要です。NTTファシリティーズは長年にわたり通信局舎をはじめとしたレジリエンスが重要な施設の新設・改修に携わり、社会に価値を提供しています。
高層小学校ならではの安全性への工夫
芝浦海岸地域の人口増加に伴い、2022年4月に開校した「港区立芝浜小学校」(東京都港区)は、敷地面積の制約から地上9階建てとなっています。2層吹抜けの体育館やプール、屋上校庭を配置するなどの工夫を施しながら、各種設備スペースや避難経路としても利用できるバルコニーを設置するなど児童が安全に利用するためのレジリエンス対応を徹底しています。
隣接する行政・公共施設「みなとパーク芝浦」は免震構造を採用しており、同等の防災機能を確保するため、芝浜小学校でも免震構造を採用しています。災害時の浸水対策として高層階へ電気室を設置し、安全性を高めています。災害などの緊急時には6階のプールの貯水をトイレの排水に利用することも想定しており、「みなとパーク芝浦」と連携し地域の防災拠点としての機能も有しています。
芝浜小学校の外観・内観

特徴的な高層小学校 外観(西側)

縦移動が多い児童へ配慮した幅広の階段
環境負荷低減への配慮
港区は地球温暖化防止に貢献することを目的として独自の「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を導入しており、環境負荷の観点から区が協定を締結した自治体産の木材を内・外装材へ利用することを定めています。芝浜小学校は港区の協定木材を床や壁、外観のルーバーなどに使用することで、認証を取得しました。また屋上には太陽光パネルを設置しており、発電量は子どもたちも日々確認できるなど、環境教育へも寄与しています。今回の知見は、各地の施設設計へと活かし、公共施設のレジリエンス・環境負荷改善を各地で推進していきます。

災害時避難施設にも活用できる体育館

災害時等の貯水機能も兼ねるプール