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品川港南2050プロジェクト②
舟運で拓く品川港南エリアの未来
都市の魅力と移動体験をつなぐ実証実験から見えた可能性
『品川港南2050プロジェクト』
都市の魅力と移動体験をつなぐ実証実験から見えた可能性『品川港南2050プロジェクト』
品川港南2050プロジェクト②
賑わいと
憩いの場を創る

NTTアーバンソリューションズグループは、まちに、社会に、さまざまな価値を提供することにより、地域社会の課題解決に取り組んでいます。本シリーズでは、その取り組みを具体的にご紹介。
今回取り上げるのは、そんな品川駅周辺のなかでも特に、品川港南エリアの地域の魅力向上や価値の最大化、地域課題の解決をめざす『品川港南プロジェクト』。品川駅周辺は、近年、多くの再開発が計画されるなど、成長著しいエリアであると同時に、地域に根付いた文化や水辺や緑地など豊かな住環境も特徴的なエリアです。品川港南2050プロジェクトの一環として、次世代の品川港南エリアを生み出すべく、今回は「モビリティ」に焦点を当て、移動の利便性向上と楽しさの追求を目的としているプロジェクトを担当する方々にお話を聞きました。

物件概要

プロジェクト名:品川港南2050プロジェクト

NTTアーバンソリューションズをはじめとしたNTTグループによる、品川港南エリアの「街づくり×デジタル」に取り組むプロジェクト。交通の要所であり、またNTTグループの不動産アセットが集積する品川で、2050年という未来を描いて、周辺企業や住民と連携しながら品川の街はもちろん、広域交通によってつながる地方都市の活性化に寄与することをめざします。

インタビュー

お話を伺った方

お話を伺った方

scheme verge株式会社

CEO, Urban Engineer
嶂南やまなみ 達貴

Chief Business Development Officer
須田 英太郎

東京ウォータータクシー株式会社

最高執行責任者 COO
木村 直樹

NTTアーバンソリューションズ株式会社

デジタルイノベーション推進部
デジタル戦略担当
浅見 和矢

NTTアーバンソリューションズ株式会社

街づくり推進本部
エリアマネジメント推進室
竹内 雄大

※肩書き・所属・業務内容などはすべて取材当時のものです。

品川と周辺エリアを舟運でつなぎ、人が回遊する街へ

今回、皆さんが取り組まれた「舟運の実証実験」について、その狙いや背景を教えてください。

浅見:品川エリアは交通の結節点であり、多くの人が行き交う街ですが、仕事をしに行く場所というイメージが強く、どこで楽しめるのか分かりにくいという課題があります。また、半径2キロ圏内には天王洲やお台場といった文化・観光スポットがありながら、意外にも移動手段が限られていたり、目的地まで徒歩の移動距離が長く、湾岸エリアでの回遊が促進されにくい状況でした。そこで、舟運という新たな移動手段を導入し、品川と周辺エリアをつなぐことで、回遊性を高め、潜在的な移動需要を掘り起こせるのではないかと考えました。

浅見 和矢
お話を伺った方

東京湾アートミュージアムクリーズMap

なぜ舟運に着目したのでしょうか?

浅見:主に二つの理由があります。一つは、東京都のまちづくり戦略の中でもベイエリアの活性化が重視されていること。周辺でも舟運に関する取り組みが進んでおり、これを品川にも展開できると考えました。もう一つは、モバイル空間統計などのデータ分析から、品川に訪れる人の行動を調査した結果、天王洲やお台場へ移動しているケースが一定数見られたことです。これを舟運でつなぐことで、よりスムーズな移動が可能になり、回遊が促進されるのではないかと仮説を立てました。

具体的な実証内容について教えてください。

浅見:今回の実証では、品川港南エリアを起点とし、舟運とミュージアム体験をセットにしたパッケージ商品を提供しました。これは、スキームバージ様が提供するプラットフォーム『Horai』を活用し、品川発の乗船券に、天王洲やお台場の体験施設・飲食店の割引券を組み合わせたものです。さらに、3日間限定のキャンペーンとして、天王洲で開催された『ミートアートフェスティバル』のチケットもセットにし、移動と観光の一体的な体験を実現しました。

今回の取り組みの中で、特に課題となった点は何でしょうか?

嶂南:大きく二つあります。一つは、これまでにないものを根付かせる難しさです。舟運は東京の一部で運行されていますが、品川港南エリアでは一般的ではなく、住民やオフィスワーカーにとって馴染みのない移動手段でした。そのため、どのようにして認知を広げ、利用してもらうかが課題でした。もう一つは、ビジネスモデルの確立です。今回は民間主導の取り組みであり、補助金に頼らない持続可能なモデルを作る必要がありました。価格設定についても、ファミリー層が手軽に利用できるか、一方で採算が取れるかといった議論を重ね、最適なバランスを模索しました。

嶂南やまなみ達貴

舟運の可能性について、どのようにお考えですか?

竹内 雄大

竹内:今回の実証を通じて、舟運を活用することで、品川と周辺エリアの回遊性が高まり、地域のにぎわい創出につながる可能性を感じました。実際、利用者アンケートでは『品川から天王洲がこんなに近いとは思わなかった』『移動自体が楽しい』といったポジティブな意見が多く寄せられました。舟運は単なる移動手段ではなく、エンターテインメントとしての価値も提供できると考えています。

須田:今回、品川港南エリアと天王洲、お台場というエリアにおける飲食店舗や施設をつなぎましたが、人々が行きたくなるような行先を舟運で繋げていくことで、地域全体の価値を高めることになると思っています。品川港南エリア、品川とつながった東京湾、さらには日本全国と、エリアの価値を高めることに、この舟運やモビリティがどう役に立つのかということを検証していきたいと思っています。

須田 英太郎

舟運ならではの魅力とは何でしょうか?

木村:舟運の魅力は大きく三つあります。一つ目は、視点の低さによる独特の景観です。水面に近い位置から眺める東京の街並みは、陸上とはまったく異なる印象を与えます。二つ目は、水上ならではの歴史的背景です。陸上には歴史的な記念碑が多くありますが、水辺にも東京の歴史が詰まっています。例えば、かつての物流の中心地としての役割や、江戸時代の舟運文化など、さまざまなストーリーがあるのです。三つ目は、自然との一体感です。東京湾では魚が跳ね、水鳥が飛び交う光景を見ることができます。さらに、潮の満ち引きが月の満ち欠けと連動しており、大都市にいながら自然のリズムを感じられるのも舟運ならではの体験です。

木村 直樹

舟上から臨む景色

舟上から臨む景色

舟上から臨む景色

今後の展望についてお聞かせください。

浅見:今回の実証では品川から人を送り出す形でしたが、今後は周辺エリアから品川に人を呼び込む取り組みを強化します。そのためには、舟運活用によるエリア間の回遊促進に加え、品川エリア内の回遊促進のためマイクロモビリティとの連携や自動運転技術の活用も視野に入れています。

竹内: 体験者の方からいただいたご意見の中には、「水辺の遊歩道が憩いの場になることを知った」というご意見もありました。エリアマネジメントの活動を通じて品川エリアの水辺空間をより多くの方に知ってもらい、さらなる有効活用にチャレンジしていくことで水辺の賑わいづくり、ひいては品川という街全体の魅力向上に繋げていきたいと考えています。

木村:舟運のさらなる発展のために、自律航行技術の導入も進めていきます。現在、私たちの船の一部で自律航行の実証運行を開始しようとしています。将来的には、品川エリアでもこの技術を活用し、安全かつ効率的な水上交通の実現に貢献できるのではないかと期待しています。

嶂南:舟運と他の都市機能を組み合わせることで、新たな人流を生み出すことが重要です。例えば、イベントとの連携を強化し、舟運を都市の体験価値向上のツールとして活用することが今後の大きな課題です。データドリブンな都市マネジメントを推進し、より多くの人にとって魅力的な都市体験を提供できるよう努めていきたいと考えています。

動画サムネイル:品川イルミネーション2023 with XR City 動画再生画面を開く 動画再生画面を開く

舟運実証映像

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